NSX Fiesta 2004

鈴鹿サーキット

富吉啓文(神奈川県)


NSX発売以来生産を続けてきた高根沢工場から移管されスタートした鈴鹿での開催。フィエスタの前後にオプションとして設定された工場見学ですが、やはり今年のフィエスタの目玉と言っていいでしょう。私は金曜日の見学に参加しました。

私自身、今年は例年のように海外からのゲストのサポートもなく、クラブ員を同伴者として参加しました。早めに集合場所の「味の街」内のレストランで昼食をとっていたら、他のクラブ員も含め多数の参加者が続々と参集。2台のバスに分乗して工場に向かいます。ほとんど顔なじみです。私たちのグループには元さん(黒澤元治さん)もおられました。

工場のエントランスには黄色のType-Rが展示されています。例によってASIMOが出迎え、説明をしてくれます。この後、階上のホールで鈴鹿製作所の所長はじめ、各セクションの責任者の方々列席のもと、工場内の説明および見学に際しての諸注意がありました。私たちを大切にしてくれているんだと実感する瞬間です。6月1日より、S2000、NSX、インサイトの順で移管されたとのこと。高根沢からは48名のクラフトマンが異動されたようです。全体では8100名の方が働いておられるとのことです。

非常に広い工場なので、各セクションの移動はバスも利用します。NSXはTDラインと呼ばれる新たなラインで組み立てられていきます。この「TD」について説明がありましたが、Tは「Takanezawa」「Takumi」「Two」それぞれの頭文字を、Dは「Dream」を意味すると聞き、高根沢の意志を継いでいること、また「Our dreams come true」に込められた夢を発展させていくんだとの強い思いを感じました。嬉しかったですねぇ。

例によって、塗装工程は見ることはできませんが、それ以外は高根沢でも叶わなかったエンジン組み立ても含み、見学できるとのことで参加者は皆ワクワクでした。昭和35年、スーパーカブの製造でスタートした工場であり、建物そのものはさすがに古いのですが、新設されたこのTDラインは整然としていて、特に床のコーティングはまだピカピカです。係りの方からは「もっと近づいても構いませんよ」と勧められるのですが、何か床を踏むと汚してしまいそうで遠慮がちにそっと歩きました。

当然ですが、ここでも手にヤスリをもって磨いています。溶接工程では火花が飛んでくることもあります。事前にゴーグルが渡されていました。あちこちに冶具があります。

横のラインでは「フィット」が流れています。2本のラインで国内モデル16種を日産2100台作っているそうです。TDラインでは日産50台ということでした。うち、NSXは1台だそうです。スゴイ。

エンジンの組み立て工程を見学できたのは貴重な体験でした。高根沢は何度か訪れましたが、エンジンは他の工場で組み立てられたものが納入されていましたから。組み立て担当のクラフトマンは、やはりあれだけ周りに人がいると集中できないのではと、ちょっと気の毒でした。組み立てができるのは、ふたりだけだそうです。

リフレッシュを担当される方もおふたりおられます。高根沢と同じく、常にいい状態で走らせるために今後も多くのオーナー、NSXがここを訪れることになるのでしょう。


翌日土曜日、いよいよフィエスタの開幕です。今年も晴天での開会です。ここ数年は受付も同じスタイル、パドックに車を停めてガイダンス、記念品などを受け取り、コース上に車を移動します。パスは事前に郵送されているのですが、何か貧弱ですね。パスケースも無いし。ステッカーだけでなく、パスも毎年集めている人もいるはず。グランドスタンドに着席します。あちこちで再会を喜び合うオーナーたち。いつもの風景です。「また来たんだなぁ」と実感する時です。ここで開会式となります。講師陣、関係者などの紹介、諸注意があります。並んでいる車を見ても、ちょっと台数は少ないようで、静かにスタートしたという感じがしました。

その後全員車に戻り、オープニングラップ、ランチとなります。その後は各自走行メニューがスタートするので、レーシングスーツに身を固めているオーナーもいます。ピットでは各種の展示、リフレッシュプラン紹介、物品販売、ホワイトボディーの展示などがあります。GT300,M-TECの車両も展示されています。翌日はコースを走行することになっています。

フルコース、東コース先導走行、西コース走行、ジムカーナの他、ホンダ車の試乗もありました。私はエディックスとインテグラをドライブ。燃料電池車もありました。レジェンドに乗ろうとしたら、「ベルノ車じゃないので・・・」ということで、ダメでした。そうか。

ジムカーナを見学しました。はじめの頃は「NSXでジムカーナ?」という感じもあったのですが、年々参加者は増えているように思いました。講師は当然、山野哲也選手です。

スキッドパッドコースは毎年挑戦している楽しい、かつ難しいメニューです。7台くらいいましたが、うまい人がいますねぇ。

私は久しぶりに走行メニューを楽しめる年だったので、考えた末、東コースの先導走行と西コース走行としました。先導走行は5台くらいの小グループでインストラクターに引っ張ってもらうのですが、グループ内に初対面の方がおられたとしても、プログラムが終わると自然と打ち解けているんです、不思議ですねぇ。実際に自分が走るオプションメニューを考えると、色んな選択肢があってよく考えられたものだと思いました。毎年楽しみに参加しているオーナーも多いと思いますが、そうしたドライバーにも初めてのドライバーにもそれぞれの欲求を満たすいいプログラムが用意されていると感じました。ただ、ここ数年南コース走行が組まれていないのですが、何か理由があるのでしょうかねぇ。

この時期は日の暮れるのも早く、初日の走行メニューが終わってからパーティーが始まるまでには十分時間があり、リフレッシュして支度するには十分です。夜の部は恒例のパーティーでスタート。毎年のことながら、華やかな何とも言えないいい雰囲気です。テーブルのあちこちで、改めて再会を喜び合う光景が見られます。初期の頃は時間配分が適切でなく、退屈にすら思ってしまう時間帯があったりしたこともありましたが、最近はこなれて来たのか全体の流れがスムーズです。クイズなどのゲームもうまく取り入れ、会場の一体感が感じられるいい演出ができるようになったことは喜ばしい限りです。豪華景品が用意され、何が当たるかわからないビンゴゲームは恒例の人気メニューになっています。例年どおり、クラブ員もいくつかの商品をゲットしました。中でも、翌日開催が急遽決まった、山野哲也選手ドライブのM-TEC, GT300NSXの同乗のシートを3席のうち2席を抽選で当ててしまったのには驚き、また羨ましくも思いました。

パーティーもお開きになる頃には、メインステージに仲間が集まり、ホンダや鈴鹿サーキットランドの関係者も交え記念写真を撮る光景が繰り返されるのも、至って自然発生的なのも驚きです。その後は、いつもは朝食会場になるレストランが二次会の場となります。あちこちのテーブルで深夜に及ぶまでNSX談義に華を咲かせています。

二日目の日曜日は、前日のような快晴とまでは行きませんが、ちょっと曇り空。でも、雨の心配はなさそうです。朝食会場ではNSXオーナーもホンダ関係者も一般のお客様も同じように好きな料理を選びテーブルを囲みます。あちらではホンダの偉い方がひとりで食事しています。別のテーブルではトップドライバーが若いオーナーと話し込んでいます。小さな子供がお母さんに手を引かれてやってきました。私は、上下関係も取引関係も無く、老いも若きも関係なく、皆が一緒に普通に食事しているここの朝食の雰囲気が大好きです。ああ、何て自由で平和なシーンなんだろう。

今朝は早くから走行メニューが始まっています。パドックに近づくといい音が聞こえます。2週前にF1GPが行われた国際レーシングコース。普段はなかなか走る機会がないため、走行メニューは人気があります。みなさん、ご自分のペースで楽しく、安全に走行しています。各走行前には講師陣から適切なアドバイスがあり、こうした中でもう顔なじみのオーナーも多いのだと思いました。「今年も来ましたね」。

用意された走行メニューが終わると、全車メインストレートに整列。全員の集合写真撮影、そしてファイナルパレードランです。パレードと言っても、1列でそれなりのスピードで走ります。ピットアウトしてパドックに駐車します。

空いたコースをGT300で活躍中のM-TEC NSXが東コースを走ります。週末にオートポリス戦を控えているためか、GT車両やドライバーが参加し辛い日程だったのだと思います。昨日のパーティー時に抽選で選ばれた3名がいよいよ同乗します。参加者全員から羨望の目で見られながら、特別に取り付けられたタイトな助手席に座り、係りの方にハーネスを締め上げられスタートです。戻って来たクラブ員に尋ねたら、「全く怖くなかった。吸い付くように走り、コーナーもスムーズ」と意外と冷静な答えが返ってきました。満面の笑み、とてもいい体験をされたと思います。

すべてのメニューが終わり、パドックスイートでランチです。引き続き、閉会式。少しパラパラ雨が落ちてきたようですが、何とか最後までもったようです。名残惜しさが残る中、皆さんにあいさつして鈴鹿をあとにします。

前にも言いましたが、今年は参加台数はそれほど多くはなかったと思います。しかし、イベント全体を通してみると、落ち着いた感じがしてなかなかの雰囲気が伴っていたと思います。ホンダの方も言われていましたが、「同窓会」のようなものになりつつあるのかも知れません。イベントの開催そのものにも種々の問題があるやに聞きます。参加台数を競うのでことなく、NSXを愛するオーナーが、年に1度会する場として今後もより充実した2日間になるように期待したいものです。


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